当社は、企業経営において、株主にとどまらず、従業員、取引先、顧客、債権者、地域社会をはじめとする多様なステークホルダーとの価値協創が重要となっていることを踏まえ、マルチステークホルダーとの適切な協働に取り組んでまいります。その上で、価値協創や生産性向上によって生み出された収益・成果について、マルチステークホルダーへの適切な分配を行うことが、賃金引上げのモメンタムの維持や経済の持続的発展につながるという観点から、従業員への還元や取引先への配慮が重要であることを踏まえ、以下の取組を進めてまいります。
記
当社は、企業の持続的成長と社会的責任の実現に向けて、経営資源の成長分野への重点的な投入、従業員の能力開発やスキル向上等を通じて、持続的な成長と生産性向上に取り組み、付加価値の最大化に注力します。
また、自社の状況を踏まえた適切な方法による賃金の引上げを行うとともに、従業員のエンゲージメント向上や更なる生産性向上に資するよう、教育訓練等、従業員への持続的な還元を通じて、企業と従業員が共に成長し、社会的責任を果たし続ける企業であり続けます。
(個別項目)
具体的には、賃金の引上げについて、物価動向や経済情勢も踏まえ、継続的な引上げが可能な構造に取り組むとともに、教育訓練等については、DXレベルの向上に向けた各種人材育成プログラムの実施のみならず、リスキリングを通じた全体の底上げなど、継続した研修体系見直しを図ることで人材育成を強化し事業の競争力を高めます。
また、従業員一人ひとりが自身のキャリアを主体的に設計できるよう制度を拡充するなど個々の成長や働きがいにつながるべく、持続的に採用・人材投資を行える循環の構築に取り組んでまいります。
当社はパートナーシップ構築宣言の内容遵守に、引き続き、取り組んでまいります。
なお、パートナーシップ構築宣言のポータルサイトへの掲載が取りやめとなった場合、マルチステークホルダー方針の公表を自主的に取り下げます。
また、消費税の免税事業者との取引関係についても、政府が公表する免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関する考え方等を参照し、適切な関係の構築に取り組んでまいります。
当社は、「ASKUL WAY」において、パーパス(存在意義)として「仕事場とくらしと地球の明日(あす)に『うれしい』を届け続ける。」を掲げ、事業を通じて社会に貢献することを目指しています。
当社はこれまで、各段階の機能を集約して業務の重複や時間・コストを削減するとともに情報流通の円滑化を実現する「社会最適」と、最も得意なプレイヤーが各機能や役割を担う「機能主義」を構築し、進化を続けてきました。また、当社が提供する商品・サービスは、メーカー・サプライヤー、配送キャリア、エージェント、コールセンターパートナーといった企業の協力で成り立っています。
当社は、各取引先・パートナーにお客様の声を届け、ともに価値を生み出していく「共創」を当社の最大の強みとして、引き続き、従業員・地域社会を含めた多様なステークホルダーとの価値協創に取り組んでまいります。
これらの項目について、取組状況の確認を行いつつ、着実な取組を進めてまいります。
以上
2025年3月21日
アスクル株式会社 代表取締役CEO 吉岡 晃
2014年2月、EC時代におけるビッグデータを活用した新たなマーケティング手法の研究とスピーディーな実践の取り組みとして、「LOHACO ECマーケティングラボ」を開始。アスクルは「データは社会に還元され、活用されるべきもの」という思想に基づき、LOHACOにおけるECならではの多種多様なビッグデータ(顧客データ、購買データ等)(※)を参加企業にオープン化。お客様のニーズを捉えた効果的・効率的なECマーケティングを実践し、参加企業における活用事例や情報をオープン化・共有知化することにより、業種や企業の垣根を越えてお客様価値を最大化するための共創プラットフォームを構築してきました。 そして10年間の活動を経て2023年3月、BtoB事業とBtoC事業のシナジーを最大化するため両事業の運営体制を統合したことを機に、2024年4 月よりBtoB のビッグデータ(顧客データ、購買データ等)※もラボ参加企業へオープン化することとしました。これに伴い、「LOHACO ECマーケティングラボ」は「ASKUL ECマーケティングラボ」として名称変更し始動しました。

※オープン化するデータには、氏名、生年月日等の個人情報は含まれていません。
「LOHACO EC マーケティングラボ」の活動の一環で2015年から開始した “暮らしになじむデザイン”の取り組みは、アスクルが参加企業と協働し「ECならではのデザイン」について研究を重ねているものです。
2018年以降は、暮らしになじむデザインの追求のみならず、「サステナブル」の要素を強化しつつ、さらに2024年からはBtoBと融合し、仕事場とくらしと地球の明日に「うれしい」を届けるポイントを併せ持つ商品開発に取り組んでいます。

”染付けの青”が美しい白磁の質感を再現。有田焼の窯元で原画から描いてつくった陶板をデザイン化したこだわりのデザイン。パウダールームやお手洗いなどのおもてなし空間のために生まれたヒットデザインです。

フィルムも箱カートンも削減し、FSC認証のクラフト紙だけで包んだ大容量ティッシュ。取り換えの手間や廃棄時の分別が不要で、商品サイズも配送効率を考えて設計しました。森の木々を感じるナチュラルなデザインで、暮らしになじみます。
くらしによりそうLOHACO展にかわり、2024年11月にASKUL/LOHACO初の共同企画リアルイベント「いい明日(あす)が くる展」を2日間にわたり開催しました。お客様の困りごとや社会課題の解決をコンセプトに、メーカーとの共創により誕生した“いい明日につながる”商品64点の紹介のほか、展示商品やアスクルオリジナル商品が購入できるポップアップストアを開設しました。

アスクルは「責任あるサプライチェーンの構築」の一環として、2021年4月に「アスクル サステナブル調達方針」を定めました。
持続可能な社会の実現に貢献するために、環境、安全、人権などに配慮し、企業としての社会的責任を果たします。
今後、本方針に基づき、商品採用・取引開始時および定期的な遵守事項に関するアンケート調査、製造委託工場の現地確認等の実施により、サプライチェーンにおける本方針の運用状況を確認してまいります。
アスクルは、引き続き、お取引先様と協働してサプライチェーン全体でサステナブルな調達の実現に取り組んでまいります。
アスクルはお客様への安心・安全な商品のご提供を持続可能にするために、「社会的責任の遂行」と「サプライチェーン全体の持続的発展」の両立を目指し、 全てのお取引先様と協働して実現する項目・取組みとして、「アスクル サステナブル調達方針」を定めます。
アスクルでは、サプライヤー(商品仕入先)様とともにCSR活動のレベルアップを進めていくために、2009年から、サプライヤー様に対して、環境・安全・人権その他のCSR(社会的責任)に関する取り組み状況の調査を行っています。
各サプライヤー(商品仕入れ先)に対して、方針の周知・契約書への記載などによりご理解・実現を呼びかけるとともに、「CSR調査」「CSR監査」を実施し、リスク・課題の特定把握を経て、改善のためのコミュニケーションを継続しています。
| 実施事項 | 対象 | 実施概要 | 備考・頻度 |
|---|---|---|---|
| 方針の周知 | 全サプライヤー(商品仕入先) |
|
|
| CSR調査 | SAQ(セルフチェックによる調査票)への回答・改善依頼 | 約3年に1回 | |
| CSR監査 | PB商品の製造委託工場 | 第三者機関による現地監査実施、その後の継続的改善 | 取引金額および所在地等を考慮し順次実施 |
| 項目 | 調査概要・確認事項 | 設問数※ | 平均得点率 | うち重要項目数/達成率 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 0. 総合 | 企業理念・体制など | 6 | 76.00% | 1 | 100% |
| 1. 環境 | 脱炭素・生物多様性の取り組みなど | 13 | 71.20% | 2 | 99.80% |
| 2. 品質・安全性 | 商品品質管理方針など | 4 | 98.90% | 2 | 98.80% |
| 3. 法令等遵守・公正取引 | 各種法令等遵守・腐敗防止など | 7 | 97.20% | 6 | 99.80% |
| 4. 人権 | 強制労働・児童労働の禁止など | 6 | 93.90% | 3 | 96.70% |
| 5. 労働慣行 | 労働・安全衛生など | 8 | 97.70% | 4 | 100% |
| 6. リスクと機会 | BCP・リスク対応体制など | 2 | 87.70% | - | - |
| 7. 情報セキュリティ | 営業秘密・個人情報保護など | 4 | 97.00% | - | - |
| 判定 | 定義 | 社数 | 比率 | 内訳比率 | 対応方針 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 85点以上 | 485 | 61.50% | 62.30% | 大きなリスク・課題なしと判断 |
| B | 65点以上85点未満 | 204 | 25.20% | 自主的な改善を促す | |
| C | 65点未満 かつ重要項目に課題なし | 12 | 1.50% | 是正・改善の提案・依頼 | |
| D | 重要項目に課題あり | 77 | 9.90% | 是正・改善の提案・依頼、個別のコミュニケーションを実施 | |
| 回答なし | 未回答 | 488 | 38.50% | - | 継続して回答依頼するとともに個別のコミュニケーションを実施 |
| 総数(社) | 1,266 | 100.00% | |||
| 監査実施時期 | 実施工場数 | 累計カバー率※1 | 改善項目発見数※2 |
|---|---|---|---|
| 2023年5月期 | 18工場 | 約60% | 7工場/計66件 |
| 21工場 | 約70% | 12工場/計49件 | |
| 2024年5月期 | 16工場 | 約80% | 13工場/計68件 |
| 2025年5月期 | 18工場 | 約90% | 12工場/計48件 |
アスクルでは今後も、お取引先様との対話と協働を通じて、お客様に安心・安全な商品・サービスの提供はもとより、サプライ チェーン全体の人権保護・法令遵守・環境保全など、サプライチェーンの持続可能性向上を推進していきます。




今後もこのような取り組みを継続し、お客様への「大アスクル*」全体としてのさらなる価値提供と、より安心して便利にご利用いただける仕組みを強化していきたいと考えています。
∗ アスクルのプラットフォームでは、「大アスクル」として、さまざまなパートナー企業が企業の枠を越えて連携し、役割を分担しています。
こちらもご覧ください。
アスクル株式会社および配送業務を担う物流子会社ASKUL LOGIST株式会社は、国土交通省・経済産業省・農林水産省が参加を呼び掛けている「ホワイト物流」推進運動に賛同し、持続可能な物流の実現に向けた「自主行動宣言」を提出しています。
「ホワイト物流」推進運動とは、深刻化が続くトラック運転者不足に対応し、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に寄与することを目的とし、「トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化」、「女性や60代以上の運転者等も働きやすい、より『ホワイト』な労働環境の実現」に取り組む運動です。
ASKUL LOGIST株式会社の「ホワイト物流」推進運動における、具体的な取り組み項目の概要は、以下の通りです。
ASKUL LOGIST株式会社では、これまでも、モーダルシフトによるCO₂削減等、持続可能な物流の実現に取り組んでまいりました。 今後とも、お客様、サプライヤー様、物流事業者様、行政等、各ステークホルダーの皆様とともに、サプライチェーン全体の効率化、生産性の向上、労働負荷および環境負荷の低減などの取り組みを通じた、「ホワイト物流」の推進と持続可能な物流の実現に向けて取り組んでまいります。