アスクルにおけるガバナンス向上の取り組み
支配株主等が存在する状況を踏まえ、「持続的・中長期での企業価値の向上」という視点に基づき、経営の独立性の確保・ 利益相反取引の回避、ならびに、少数株主保護および株主の公正性・公平性の担保等に配慮した体制の構築・運用を図って います。
アスクルは、「仕事場とくらしと地球の明日に『うれしい』を届け続ける。」というパーパス(存在意義)、バリューズ(価値観)、DNAからなる「ASKUL WAY」に基づき、お客様、株主・投資家、パートナー企業、社員、その他、社会の様々なステークホルダーの声に耳を傾けるとともに、社会的意義のある新たな価値を創造し続けることで、様々な社会の課題解決に寄与したいと考えております。
そのために、コンプライアンス経営をさらに徹底し、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を図ることで、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努め、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。
アスクルのコーポレート・ガバナンスに関する詳細は、「有価証券報告書」および「コーポレート・ガバナンス報告書」をご覧ください。
アスクルのコーポレートガバナンス・コードの各原則の実施状況の詳細については、最新の「コーポレート・ガバナンス報告書」をご覧ください。
・コーポレート・ガバナンス報告書
※「コーポレートガバナンス・コード」とは
東京証券取引所により2015年に策定されたもので、実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則が取りまとめられています。(2015年6月から上場企業への適用が開始。2018年6月、2021年6月に改訂がなされています。)
詳しくはこちらをご覧ください。
当社の取締役会は、多様性に配慮しつつ、事業に関する知見・専門知識・経験・能力等、バックグラウンドが異なる多様な取締役で構成するものとします。
取締役会の員数は、定款の定めに従うものとし、以下の観点を踏まえ、取締役会の機能が最も効果的かつ効率的に発揮できる適切な員数とします。
これらにより、取締役会が経営の重要な意思決定および監督機能において実効的な役割を果たすにあたって、取締役会全体としての知識・経験・能力のバランスおよび多様性の確保と、適正な規模の両立を図るものとします。また、当社は、社外での豊富な経験、高い見識・幅広い知見や深い専門性を当社の経営に活かすとともに、独立した客観的な立場からの経営の監督の実効性を確保・強化し、経営の透明性の向上を図るため、独立社外取締役を複数名選任するものとします。
当社の監査役会の構成としては、常勤監査役を1名以上選任するとともに、社外監査役を1名以上選任するものとします。監査役の員数は、定款の定めに従うものとし、取締役の職務執行の監査が最も効果的かつ効率的に発揮できる適切な員数とします。
また、監査役の選任にあたっては、適切な経験・能力および必要な財務・会計・法務に関する知識を有する者を選任するものとし、うち1名以上は、財務・会計に関する十分な知見を有している者を選任するものとします。
また、監査役の選任にあたっては、適切な経験・能力および必要な財務・会計・法務に関する知識を有する者を選任するものとし、うち1名以上は、財務・会計に関する十分な知見を有している者を選任するものとします。
なお、当社は、前会計監査人の監査継続年数を考慮し、新たな視点での監査が期待できること、また、グループ全体での監査の効率化が期待できることから2022年8月の定時株主総会において、有限責任監査法人トーマツを会計監査人に選任しています。
(2023年8月4日現在)
当社の取締役候補・経営陣幹部については、以下を備えている人材であることを条件とします。
なお、候補の選定にあたっては、取締役会の構成の多様性を考慮し、その時々の経営の状況に応じて、多様な視点による監督が行われることが事業の推進・拡大、適切な監督に資するとの認識に立ち、当社取締役候補者として最適な人材を選定します。
当社のすべての取締役は、毎年、株主総会決議による選任の対象とされます。
取締役(補欠取締役を含む。)の候補者、経営陣幹部は、すべての独立社外取締役およびCEOで構成される「指名・報酬委員会」における公正、透明かつ厳格な審査および答申を経た上で、取締役会で決定されます。
なお、当社の取締役による、他の上場会社の取締役または監査役の兼任については、当社取締役としての業務のために必要な時間を費やしその責務を遂行するにあたって合理的な範囲にとどめるものとします。
CEOの解任については、選任にあたっての人材要件に掲げる項目に関して重大な欠格事由が生じた場合、当社の企業価値が著しく毀損した場合、当社の社会的評価・評判が著しく毀損しCEOに重大な責任が認められた場合、人心刷新の必要性が生じた場合等に、その理由を明らかにした上で、指名・報酬委員会において解任案を決定し、取締役会で決議されます。
また、経営陣幹部の解任にあたっては、経営陣幹部が、上記に記載する経営陣幹部に求める人材の条件から逸脱する状況に該当するなどの事態に至った場合、指名・報酬委員会における公正、透明かつ厳格な審査および答申を経た上で、取締役会で決定されます。このほか、本人からの辞任の申告、当社の組織変更および役割・担当の変更に伴い、取締役会で決定されます。なお、取締役の解任を伴う場合は、上記に加え株主総会でも決議するものとします。
当社の監査役候補については、以下を備えている人材であることを条件とします。
なお、候補の選定にあたっては、監査役会の構成の多様性を考慮し、その時々の経営の状況に応じて、多様な視点が適切な監査に資するとの認識に立ち、当社監査役候補者として最適な人材を選定します。
また、当社の監査役のうち1名以上は、財務・会計に関する十分な知見を有している者であるものとします。
監査役(補欠監査役を含む。)の候補者については、指名・報酬委員会が事前に監査役会と協議の上、公正、透明かつ厳格に審査して取締役会に答申し、これに基づき、監査役会の同意を経て取締役会で決定されます。
なお、当社の監査役による、他の上場会社の取締役または監査役の兼任については、当社監査役としての業務のために必要な時間を費やしその責務を遂行するにあたって合理的な範囲にとどめるものとします。
当社は、「独立役員指定規程」を定めており、以下の事項のすべてに該当しない社外役員の全員について、本人の同意を得た上で、独立役員に指定しています。
【金銭報酬】
固定部分としての基本報酬(月次報酬)と業績連動報酬で構成されています。
【非金銭報酬】
譲渡制限付株式報酬(業績条件付)
ESG課題の解決に対する実効性を高めることを目的として、社内取締役および執行役員を含む部長以上の役職者等を対象に、ESG指標達成を譲渡制限の解除条件とする株式報酬制度を導入しております。ESG指標については、マテリアリティ(重要課題)に関する4項目(取締役はガバナンスを含む5項目)を採用しています。
詳細はこちら「譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分および新株式の発行に関するお知らせ」を参照ください。
その役割と独立性の観点から、「基本報酬のみ」としています。
当社では、取締役会の実効性の向上に継続的に取り組むため、全取締役および監査役を対象に、2015年から取締役会全体の実効性に関する分析・評価を毎年行っています。
直近では、2023年4月にアンケートを実施し、その分析結果等をもとに、取締役会全体の実効性について、評価を実施しました。
アンケートは、下記項目ごとに複数の設問を用意し、5段階で評価する回答、選択肢による回答、また項目ごとにフリーコメント欄を用意し、取締役会の実効性を確認しています。
なお、当社では記名式による回答を実施することで、議論の活性化を図り、また役員の属性(社内・社外取締役、監査役)に応じた分析・評価も行っています。
今回(2023年4月)の評価では、取締役会を構成するメンバーは、(1)多様性を備えており、独立社外役員から牽制の効いた効果的かつ適切な経営監督機能を確保できている、(2)それぞれの知見や経験等を活かして、活発で建設的な審議が行われているなどのことから、取締役会の責務・役割を実効的に果たしているという評価結果となりました。
アンケート結果から抽出された意見・課題、および各課題への取り組み・改善方針は、以下のとおりです。
今後、2023年11月の取締役会において中間報告を実施し、上記の改善方針に関する上期の実施状況および下期の対応予定について確認し、意見交換を行う予定です。
また、2024年春に予定している次回の実効性評価については、より客観性を担保する体制を構築すべく、独立役員による評価手法の検討や第三者機関の関与等について検討し、今期の実効性評価に関する総括とともに、2024年4月の取締役会において報告する予定です。
当社は「関連当事者取引管理規程」を定めており、関連当事者との取引により当社および株主共同の利益を害することならびにこれらの懸念を惹起することがないよう、取引の合理性および取引条件の相当性について慎重に判断し、管理しています。
また、当社は、2021年8月4日開催の取締役会決議により、当社の取締役会の監督機能を強化し、当社および当社グループの適切なコーポレート・ガバナンスの向上および経営の透明性の確保、ならびに、支配株主およびこれに準ずる支配力を有する主要株主(支配的株主)と少数株主との利益が相反する重要な取引および行為に際しての少数株主の利益保護および公正性・公平性の担保に資することを目的に、取締役会の常設の諮問機関として、特別委員会を設置しています。
当社は、「株主の権利・平等性の確保に関する方針」を策定、実行しており、2022年5月期末現在、安定株主対策を目的として保有する上場株式、いわゆる政策保有株式は保有していません。
当社は、外部の優れた技術の活用、業務提携による関係強化等、当社グループの戦略上重要な目的を有すると判断される株式を政策保有株式として保有することがあります。また、当社は、政策保有株式について、保有目的が適切であるかを検証した上で、取締役会もしくはそれに準じる会議体にて保有の継続、処分の判断を実施しています。
当社は、株主・投資家に対する、経営に関する事項、事業活動状況等の企業情報の開示については、関係法令に従い、積極的かつ公正に行います。
企業情報は、常に正確性を確保し、必要な場合は機密保持の必要性を考慮し、適切な時期、方法により開示します。開示すべき情報としては、法令で開示を要求されているもののほか、ESG要素などの非財務情報についても、積極的な開示を行います。
当社は、情報開示を重要な経営責任の1つであると認識し、株主・投資家等にとって分かりやすく、情報として有用性の高いものとなるように努めます。
当社は、会社法および会社法施行規則に定める「業務の適正を確保するための体制」について、「内部統制システム構築の基本方針」として取締役会で決議しています。
当社は、「内部統制システム構築の基本方針」に基づき、その整備と適切な運用に取り組んでおります。
2024年5月期に実施した主要な取り組みは、次のとおりであります。
取締役会および各委員会等の活動状況については、以下もご参照ください。
当社は、上場子会社を有しており、当社グループは、グループマネジメントについて、「社会課題の解決に向けた連邦経営によるグループ戦略の強化」を基本方針とし、その基本方針に基づき、個々の企業体の経営の自由度を確保するとともに、社会の課題解決に向けたミッションを共有し、また、その実現に向けたガバナンス体制を構築し、様々なステークホルダーに対してグループ総合力による最高の価値を提供していきます。
当社は、上場子会社が中長期的に企業価値を向上し、少数株主や当社を含むすべての株主の共同利益を最大化させることが重要であると認識しており、かかる観点を意識して、上場子会社の各議案について議決権を行使することとしています。また、出資先管理等を目的として「関係会社管理規程」を定め、関係会社等を含めた子会社における重要な意思決定等に関しては、当社への事前承認または報告を求めていますが、上場子会社については、当該上場子会社の独立性に影響を与えるような事前承認を求めることはしておらず、当社が各社の意思決定を不当に拘束することがないよう配慮しています。万が一、議案に関して両社間で見解の相違が発生した場合は速やかに当該上場子会社の独立役員と連携を図り、少数株主保護の観点から議決権の最終行使を図っていきます。なお、方針・見解の相違や意見の対立を未然に防ぐためには両社間のコミュニケーションが極めて重要であると考えており、シナジー最大化に向けたアスクル役職員1名の取締役候補への推薦だけでなく、両CEO同士の定期的な対話、経営幹部同士のコミュニケーション、経営企画部門を中心とした事務者レベルまで緊密なコミュニケーションを図っていきます。
当社が上場子会社を有する意義は、以下のとおりです。なお、当社としては、上場子会社が、株式市場での評価を受けながら、顧客やお取引先、従業員等のステークホルダーと良好な関係を保ちつつ事業に取り組むとともに、少数株主の利益に配慮した自律的な経営を行うことが各社の事業の成長・企業価値の向上、ひいては当社グループ全体の企業価値の向上に資するものと考えており、現時点では各上場子会社の上場を維持することが望ましいと判断しています。株式会社アルファパーチェス:同社は、BtoB向けMRO事業、FM(Facility Management)事業を主な事業としており、我が国におけるインターネット通信販売の利用が拡大する中で、同社の上場会社としての独立性・自主性を維持しつつも、当社グループの一員として、当社グループ各社と協業していくことが、当社グループ全体の企業価値向上に資するものと考えています。
その他の関係会社であるLINEヤフー株式会社は、当社が独立した上場会社として事業運営の独立性を維持して経営していることを尊重しており、同社との間では役員の兼務や出向役員の受け入れがあるものの、その数も少数であることから、当社の事業活動や経営判断について同社からの制約はなく、当社の独立性は確保されていると認識しています。なお、同社が保有する当社株式の議決権割合は44.95%であるため、当社は国際会計基準(IFRS)上、同社の連結対象の範囲に含まれています。当社はすべてのステークホルダー(お客様、株主様、お取引先、従業員)への価値向上と、上場会社としての事業運営の独立性維持を前提に、そのような状況を了承しています。
アスクルにおけるガバナンス向上の取り組み
支配株主等が存在する状況を踏まえ、「持続的・中長期での企業価値の向上」という視点に基づき、経営の独立性の確保・ 利益相反取引の回避、ならびに、少数株主保護および株主の公正性・公平性の担保等に配慮した体制の構築・運用を図って います。
アスクルグループの税務方針を取締役会の決議により、以下のとおり定めております。(2023年12月6日制定)
基本方針
当社は、コンプライアンスが経営の前提条件であるとの認識のもと、各ステークホルダーに対し、一人ひとりが高い倫理観と遵法精神を持ちながら、自らの業務を行う際に遵守するべき行動の基本ルールを示した「ASKUL CODE OF CONDUCT(倫理・行動規範)」を制定し、当社のみならず各グループ会社においても当該ルールに基づいて行動しております。税務コンプライアンスについても、「ASKUL CODE OF CONDUCT」の精神に則り、税務情報の適時かつ適切な開示により税務の透明性を確保するとともに、関係法令等に準拠し、適切な税務申告と納税を行うことを通じて、事業を展開する各国・各地域の経済社会の発展に寄与することを目指します。
税務コンプライアンス
アスクルグループ(以下、当社グループ)は、各国・各地域の税務に関連する法令等を遵守することはもとより、その立法趣旨や背景を正しく理解し、適正に納税義務を履行します。株主価値最大化の観点から利用可能な優遇措置を適切に活用しますが、事業実態の伴わない施策による優遇税制の利用、無税・低税率地域への利益移転等のタックスヘイブンを利用した意図的な租税回避行為は行いません。
また、グループ会社間の国際取引が発生した場合には、各国・各地域の税務に関する法令等の遵守およびOECD移転価格ガイドラインに沿った独立企業原則に則り実施します。
税務ガバナンス
当社の税務慣行全般の管理状況と対応方針については、取締役であるCFO(チーフ・フィナンシャル・オフィサー)が責任を担っています。高度な専門性を持つ適切な人材を確保・育成するとともに、各グループ会社の経理担当部門との十分な連携が行われる環境を整備することで、当社グループの税務コンプライアンスの向上、税務リスクの低減を適切に果たせるような体制を構築します。
税務上の解釈が不明瞭で、税務リスクの発生が見込まれる場合は、外部専門家のアドバイスを受けること等により、十分な検討を行い税務リスクの最小化に努めます。
また、各事業で発生する税務上の課題については、必要に応じて、取締役会および監査役会に対して報告を行います。
税務当局との関係
当社グループは税務当局との対応を誠実に行い、健全かつ良好な信頼関係を構築・維持します。必要に応じて事前に税務当局に確認を行うことで適正な税務申告に努めるとともに、税務リスクの低減に取り組みます。なお、税務調査等において指摘された問題は適切に対処し改善措置を講じることで再発を防止します。
当社は、取締役・監査役が会社の事業・財務・組織等に関する必要な知識を習得し、取締役・監査役に求められる役割と責務(法的責任を含む)を十分に理解するため、就任時に機会を提供するとともに、これらを継続的に更新する機会を提供します。 社外取締役・社外監査役へは、就任時に個別研修プログラムを実施するほか、主に事業活動や経営環境、「ASKUL WAY」、コーポレート・ガバナンスに関する事項および各種役員関連規程等についての説明や、必要に応じて物流センター等の主要事業所見学等を行います。
また、社内取締役・社内監査役へは、就任時に財務内容についてレクチャーを含む個別研修プログラムを実施するほか、会社法、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス、財務リテラシー等に関する知識に加え、幅広い人格・見識・素養・知識・スキル習得のための研修機会を提供します。合わせて、意思決定に必要な理解度を高めため、取締役会付議議案の内容に応じて、個別に事前ブリーフィングを行います。