環境問題対策としてレジ袋有料化が2020年7月に始まりました。バイオマス素材配合のレジ袋を販売することによって、従来のプラスチック製レジ袋より石油由来の資源の利用削減にはつながりますが、直接的なプラスチックごみの削減にはなりません。寄付などの別の形で、プラスチック問題に少しでも貢献できないでしょうか?
寄付をするのであれば、問題解決に直接役に立ちたいし、寄付がどのように使われて、それによってどう貢献できるのか、お客様にも報告と説明ができて、その背景にある問題も知っていただくきっかけになる取り組みになればと考え、まずは海洋プラスチックごみ問題を調べることにしました。
毎日新聞2018年9月16日 東京朝刊:
https://mainichi.jp/articles/20180916/ddm/003/040/099000c
政府広報オンライン:
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201905/1.html
世界のプラスチックごみの約90%は
アジアとアフリカの10本の河川から排出されています
海洋に流れ出しているプラスチックごみの量
このままだと2050年には
対馬は九州と韓国の間に浮かぶ島で、「国境の島」と呼ばれています。島土の約9割を占める広大な森と豊かな海に囲まれて、ツシマヤマネコをはじめとする多様な生き物が共生しています。森里海の連環がもたらす対馬固有の生態系だけでなく、大陸側と日本側から、共通・固有の動植物や文化が混在していることも特徴です。
豊かな地域資源を有するユニークで魅力のある島ですが、過疎化による人口減少や少子高齢化、海流と対馬の独特な地形の関係で引き起こされる海洋プラスチック問題などは、以前より大きな課題となっています。しかしこの状況を「課題先進地」としてポジティブに捉え、「自立と循環の宝の島 対馬」を目指し取り組んでおり、SDGs未来都市にも選定されています。
近年、対馬各地の海岸で、日本や近隣諸国で発生したごみが大量に漂着しており、生態系を含む海岸環境の悪化、美しい浜辺の喪失、海岸機能の低下、またそれらによる漁業への影響等が危倶されています。対馬海流や北西からの季節風の影響で流れてきた海ごみを、島を囲むリアス式海岸特有の複雑な地形が受け止める形となり、世界的なホットスポット「海ごみの防波堤」になっています。毎年2~3万㎥の海ごみが漂着し、そのうち回収できるのは約8千㎥、漂着量のわずか3分の1程度です。特に大陸から流れてくるごみが西側の海岸に多量に漂着し、海岸で受け止めきれる量を超えた海ごみは、日本海へと再び流出していることが分かっています。マイクロプラスチックの生成場所にもなりかねない状況です。
70%がプラスチック類
透明度が高く美しい海とは対照的に、海岸は見渡す限り全てが海ごみで埋め尽くされています。紫外線などで劣化したプラスチックが微細化され、マイクロプラスチックとなり海ゴミの絨毯になっています。漂着物を見てみると、日本語で書かれたもの以外にも、様々な国の言語が記されている生活用品の容器やペットボトル、複雑に絡み合って解くことが困難な大きな漁網、大型の冷蔵庫も確認することができました。マイクロプラスチックが生成されないように、いかに早い段階でゴミを回収するかがカギとなりますが、現状はすべてを回収しきれない状況です。
積極的なボランティアの受け入れ(赤島海岸清掃ボランティア)
対馬市が中心となり、対馬CAPPAのスタッフにも説明いただきながら、海ごみの視察と清掃ボランティアをしています。市民や学生によるボランティアだけでは回収しきれないため、漁協との連携やNPO団体の受け入れの他、最近は企業の参加も増えています。実際に作業をしながら直接海ごみに触れることで海ごみの問題の大きさを実感します。
◀風の力で大きな発泡スチロールが海岸の奥の方まで吹き飛ばされています
回収すればするほど処理コストもかかります
回収した海洋プラスチックごみの中間処理(対馬クリーンセンター中部中継所)
漁協組合やボランティアが回収した海ごみが年間約8,000袋搬入され、可能な限り分別して破砕処理され、一部はマテリアルリサイクルされますが、多くは熱回収され、処理できない2割程度が埋め立て処分されています。回収されてきた海ごみは、はじめに色別のプラスチック・PET・発泡スチロールに分別され、人手による裁断が行われた後、機械で粉砕処理されます。しかし、回収する量に比べて再利用される量が追いつかず、敷地内には処理前のフレコンバッグが数多く並んでいます。行き場のない海ごみをどうにかしなければいけないと改めて実感しました。
全国屈指の水揚げを誇る対馬では、水産業が多くの人々の暮らしを支えています。またその美しい海は、ウミガメなどの野生生物の生態系を支え、エコツーリズムなどの観光にとっても大きな役割を担っています。
この5~6年で「磯焼け」が深刻な問題になっていると、地元の漁師さんから伺いました。磯焼けとは、海藻が著しく減少・消失し、その一帯の海藻が繁茂しなくなる現象のことです。磯焼けが原因で、アワビやサザエは甘さがなくなり、収穫量も減っています。特にサザエは長崎の一大産業で対馬は最大の漁場のため、沿岸漁業に大きな打撃を与えています。対馬では海藻を大量に食べ尽くすイスズミという食害魚が急激に増えたことで、磯焼けが加速しています。気候変動による水温上昇や水質悪化など理由は様々ですが、気づいた時には手遅れになってしまっている場合があり、海洋プラスチックだけでなく、気候変動などがもたらす影響も出ています。
海洋プラスチックごみ問題の調査から、日本で多く海洋プラごみが集まるところが対馬市であることを知り、レジ袋の売上の一部を対馬市海洋ごみ対策にご活用いただくことになりました。
その検討のプロセスで、対馬市のSDGs未来都市計画とアスクルの資源循環への取り組みの考え方や方向性に共通点が多いことを知り、SDGsの目標達成に向けて、2021年2月SDGs連携協定書を締結しました。双方の資源、ノウハウを有効に活用した共同による活動を推進します。
SDGs連携協定・連携事項の実現に向けて、社員が対馬市の課題を学ぶ、対馬スタディツアーを実施しています。
ご購入金額(税抜き)の3%を、長崎県対馬市に寄付します。
寄付金は、海ごみの回収や処理に役立てられます。
年間2回(9月と3月)に寄付を行います
寄付額・寄付の使途・現地の情報など
随時こちらのページでアップデートしていく予定です
第7回目の支援・寄付を行いました。引き続き皆さまのご理解・ご協力をお願いします。
回数 | 対象期間 | 支援金額 | 使途 | 受領証等 | 報告書 |
---|---|---|---|---|---|
第1回 | 2021.2.21-2021.8.20 | 171,116円 | 対馬市海岸漂着物等地域対策事業へ活用 | PDF (260KB) |
PDF (1.02MB) |
第2回 | 2021.8.21-2022.2.20 | 129,347円 | 対馬市海岸漂着物等地域対策事業へ活用 | PDF (410KB) |
|
第3回 | 2022.2.21-2022.8.20 | 169,262円 | 対馬市海岸漂着物等地域対策事業へ活用 | PDF (134KB) |
PDF (725KB) |
第4回 | 2022.8.21-2023.2.20 | 158,335円 | 対馬市海岸漂着物等地域対策事業へ活用 | PDF (355KB) |
|
第5回 | 2023.2.21-2023.8.20 | 138,406円 | 対馬市海岸漂着物等地域対策事業へ活用 | PDF (356KB) |
PDF (1.07MB) |
第6回 | 2023.8.21-2024.2.20 | 156,200円 | 対馬市海岸漂着物等地域対策事業へ活用 | PDF (347KB) |
|
第7回 | 2024.2.21-2024.8.20 | 152,529円 | 対馬市海岸漂着物等地域対策事業へ活用 | PDF (345KB) |
※本支援は「対馬市企業版ふるさと納税」制度を活用しての寄附・支援となっております。
寄付つきレジ袋を最初の一歩として、今後も対馬市や関連する団体・企業とともに、サーキュラーエコノミーと海洋プラスチックごみ対策のための取り組みを展開してまいります。