常々「世界は同時に動いている」と言っています。情報による21世紀の産業革命の激流の中で、同時に起こる世界の変化、加速する世界の変化を日々感じています。
2015年は、COP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)での「パリ協定」の採択、国連による「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の採択、ほかにもガバナンスコードの適用など、企業のサステナビリティ(持続可能性)を考える上で、大きなトピックが目白押しでした。かたや、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ロボットなど、技術の進歩もニュースを見ない日はないと言っていいでしょう。
世界の変化が加速する中でも、環境や社会が持続可能でないと企業は存続できません。世界が一つの大きな転換点にさしかかっている今の時代だからこそ、企業が社会的課題の解決に積極的な役割を果たすことがますます期待されているのです。
アスクルは、新たなテクノロジーを活用しながら、大きな世界の変化に対応するとともに、環境・社会のさまざまな課題の解決に取り組んでいきたいと考えています。
私たちはこれまでも、環境配慮型物流センターの構築を進めてきましたが、拡大・成長し続けるeコマースに対応するため、アスクル8拠点目であり最大規模となる環境配慮・都市型の新物流拠点「ASKUL Logi PARK 関西」(*)を2017年12月に稼動予定です。地域の雇用や環境への配慮、BCP(事業継続)面での対策強化も進め、企業としての社会的な役割・責任を果たすべく、地域社会と共生し災害時の地域インフラとしての役割も担いたいと考えています。
今後も、電気自動車の導入、太陽光発電など再生エネルギーの活用、AIやロボットの活用なども含め、次の「社会最適」に進むためのステップとして、持続可能な企業であるための足元の基盤整備を、一歩一歩進めていきます。
アスクルの役割(ミッション)の一つは、「ニューミドルマン」(新たな仲介者)として、お客様とつくり手をつなぐことです。
「LOHACO ECマーケティングラボ」(*)は、アスクルにとって重要な成長エンジンとの位置づけですが、2016年4月に3期目となった現在は、おかげさまで100社近い様々な業種のメーカーの皆様の賛同を得られました。商品の企画開発のみならずマーケティング面や物流・配送面も含めて、ともに価値を生み出す「共創」「協創」に取り組んでいます。
ラボ参加メーカーの皆様との個人情報を除いたビッグデータやお客様の声の共有、これまでの取り組みの知見やデータの検証を通じて、改めて、「独りよがりではない施策」の必要性をお互いに強く意識するようになっています。実際、「くらしに馴染む」デザイン商品の企画開発(*)など、ラボ参加メーカーの皆様が自主的に学びあって、ECの時代における生活者にとっての新たな価値を生み出し始めています。ここでは、業種の垣根を越えた提案や開発・連携が、自然と加速されているのです。
ECマーケティングラボは、「自ら気付いて変われる場所」、「オープンなイノベーションを生み出す場所」を目指していますが、ラボ参加メーカーの皆様の中には、自らの壁を取り払う機会、新たな境地を見出すきっかけとして活用いただいている場面もあるようです。
こうした「共創」の動きは、次の時代において、世界を動かす大きな「原動力」の一つとなるのではないでしょうか。
一方、「次の時代」への進化には、テクノロジー(ECをとりまく最先端技術)も欠かせない要素です。
テクノロジーの進歩が加速すれば、進化の機会も多い。進化しなければ淘汰される危機感もあります。
「Happy On Time」(*)などの配送サービス面での進化も、<ビッグデータとAI>のおかげで最適配送の実現に近づきました。物流センター現場へのロボットの導入(*)では、時間や場所の制約を取り払い、「効率化・生産性向上」と、「お客様の満足度向上・サービス進化」の両立を実現できると期待しています。
また、LOHACOの全お問い合わせの3分の1をカバーするAI型チャットボット「マナミさん」(*)は、テキストベースのチャット形式でお客様のお問い合わせに回答しており、お客様との新たなコミュニケーションツールとなっています。
さらに進化したAIなどの活用を通じて、したいことがすぐできる、気持ちを汲み取ってくれる、知識や経験を越えた嬉しい提案や驚きの発見まで提供してくれる、といった「テクノロジーが体験を劇的に変えてくれる」世界は、現在進行形で日々、形になりつつあります。
いつのまにかカーナビが当たり前になったように、その世界は「すぐそこ」に来ています。
アスクルも、多くの進化の機会を活かし、テクノロジーカンパニーへの変革を図っていきます。
もちろん、AIもIoTもビッグデータも、テクノロジーは人の幸せを実現するための一手段でしかありません。
ビジネスの本質は「人々の幸せ」であり、その根底には「社会を良くしたいという思い」があります。
未来をじっと見据えたとき、これからの経営にはより一層、高潔な倫理感、人間への洞察や深い共感が求められてくると確信しています。
「三方よし」という言葉がありますが、私も以前から「三面鏡経営」(*)という言葉で、「資本市場」の一面だけでなく「従業員」・「社会」と合わせて「『三面』を見ながら経営することの大切さ」を社内外に発信しています。
「正しいことをする」というと、当たり前のことですが、社会が不安定になれば会社ももちろん立ち行かなくなる。社会的な課題への対応を図っていくことが企業にはますます求められているわけです。
アスクルは、社会の期待や役割が大きくなる中で、社会に対する責任の重みを自覚しながら、今後も、新しい「社会最適」を目指して、進化を加速させ、生まれ変わり続けていきます。
2016年6月
(*)それぞれの詳細・関連情報については、ニュースリリースおよび関連ページをご覧ください。
◎各ニュースリリース
・「ASKUL Logi PARK 関西」について(2016年6月7日)http://pdf.irpocket.com/C0032/FgNv/w7Os/zP9O.pdf
・「LOHACO ECマーケティングラボ」について(2016年4月25日)http://pdf.irpocket.com/C0032/VuON/APJw/SJ6A.pdf
こちらも合わせてご覧ください。(2014年7月)https://askul.disclosure.site/ja/themes/127
・「くらしに馴染むデザイン商品」について(2016年2月22日)http://pdf.irpocket.com/C0032/TM54/eLoz/RKm0.pdf
・「Happy On Time」について(2016年6月28日) http://pdf.irpocket.com/C0032/pTWD/ws9e/wiWC.pdf
・「ロボットの導入」について(2016年6月28日) http://pdf.irpocket.com/C0032/FgNv/MwDt/IK0R.pdf
・「人工知能型チャットボット “マナミさん”」について(2016年5月19日) http://pdf.irpocket.com/C0032/VuON/Fw7l/oSd1.pdf
◎関連情報について
・「三面鏡経営」について・・・「今こそ企業家精神あふれる経営の実践を~「三面鏡経営」と「5つのジャパン・ニューディール」の推進による『未来価値創造型CSR』の展開~」(公益社団法人経済同友会/2009年4月23日)
http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2008/090423a.html